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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和6年1月12日(金)

 今朝の閣議ですけれども、法務省の案件はありませんでした。
 続いて、私から、令和6年能登半島地震への対応について、直近の状況を御報告させていただきたいと思います。
 まず、改めて、この地震で亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被災されました方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。
 総理からは、できることは全てやるという御発言を頂いておりまして、法務省としましても、この考え方に基づいて被災地、被災者の方々に寄り添い、できることに全力で迅速に取り組んでいるところです。まだまだ先の長い闘いかもしれませんけれども、政府の一員として法務省も力を尽くしていきたいというふうに思っております。
 直近の状況ですけれども、昨日、今回の地震に関して、特定非常災害特別措置法及び総合法律支援法に基づく特別措置を適用するための政令が閣議決定され、即日公布・施行されました。この内容でありますけれども、震災によって生活が止まり、企業活動が止まってしまっていますので、法令上の期限もそれに合わせる形で猶予すると、そういう考え方に基づいて、五つほどの(特定非常災害特別措置法に基づく)措置を具体的には取っていこうということです。
 まず、行政上の権利利益の満了日の延長です。例えば、犯罪被害財産等による被害回復給付金支給手続の申請期限の延長、在留外国人の在留期間の延長などであります。
 また、2番目の項目ですけれども、期限内に履行されなかった行政上の義務の履行の免責。例えば、法定の期限内に会社等の役員変更登記等の申請ができなかった場合であっても、不利益な取扱いはしないというものであります。
 3番目が、法人の破産手続を開始しないという特例であります。今回の地震に伴う被害により、債務超過の状況に陥った法人について、支払不能の状態にある場合や自ら破産手続開始の申立てをした場合等を除いて、来年令和7年12月31日までの間、約2年間、破産手続を開始しないことにするものであります。
 4番目は、相続の承認又は放棄すべき期間の特例、熟慮期間を延長しようということであります。本年1月1日に、災害救助法の適用区域に住所を有しておられた相続人を対象として、相続を承認するか、あるいは放棄するかを判断するためのいわゆる熟慮期間を令和6年9月30日まで延長します。
 5番目でありますけれども、民事調停法による調停の申立ての手数料を不要とする特例措置であります。今回の地震による災害に起因する民事紛争に係る民事調停の申立てについて、本年1月1日に災害救助法の適用区域に住所等を有していた方を対象として、令和8年12月31日までの間、申立手数料を不要とするというものです。
 また、法テラスの活用に関しても措置を取りました。総合法律支援法に基づく措置として、日本司法支援センター、(すなわち)法テラスにおいて、本年1月1日に災害救助法の適用区域に住所等を有していた方々を対象として、1年間、本年12月31日までの間、資力の状況にかかわらず無料法律相談を実施します。「法テラス災害ダイヤル」を掲示しまして、皆さんから幅広く相談を受け付けたいというふうに思っております。(電話番号は)0120-078309。法テラスはいくつか電話番号がありますけれども、災害ダイヤルは専用のフリーダイヤルでこの番号です。
 前回(1月9日)の記者会見でも申し上げましたように、金沢地方法務局輪島支局が入居している庁舎に避難者を受け入れる、非常食等を提供する、このオペレーションも継続しております。火曜日(1月9日)の段階で、180名(程度の方が避難されている)というふうに申し上げましたけれども、昨日現在で、やはり180名(程度)の方が避難されておられます。大勢の方々が輪島支局(が入居している庁舎)にいらっしゃるということで、しっかり対応していきたいと思います。
 また、(輪島市に)法務省矯正局特別機動警備隊・管区機動警備隊の約60名が派遣されまして、支援物資の搬出入、仮設トイレやシャワーブース(の設置などの支援を行っています)。これ(シャワーブース)はかなり重宝されているようであります。報道でも流していただいたようでありますけれども、1日数十人の方が、温水が出るシャワーを使える。そのオペレーションを機動警備隊等が行っています。引き続き、法務省としても全力でこうした支援を継続していきたいというふうに思っています。

能登半島地震をめぐるSNSの投稿に関する質疑について

【記者】
 能登半島地震をめぐるSNSの投稿に関してお尋ねします。地震の発生後、「外国人窃盗団が集まっている」など、外国人と犯罪を結び付けるような投稿が拡散しました。こうした投稿は外国人差別にもつながりかねないと指摘されておりますけれども、人権擁護を所管する法務省としての対応ですとか、注意喚起があればお話しいただければと思います。
 
【大臣】
 今回の地震の発生後、御指摘のような投稿がSNS上で拡散されていることは承知しております。
 こうした震災等の大きな災害が発生しますと、不確かな情報に基づいて他人を不当に扱う、あるいは偏見や差別を助長するような情報を発信するなどの行為、こういったものが往々にして見られるわけでありますけれども、こうした行為は重大な人権侵害になり得るだけではなくて、避難や復旧・復興の妨げにもなってまいります。厳に謹んでいただきたいと考えております。
 こうした趣旨を、(本月)4日に、当省人権擁護局公式SNSを通じてその旨の呼び掛けを行いました。これからも継続的に繰り返し呼び掛けを行っていきたいというふうに思います。
 また、インターネット利用者の皆様方におかれましても、災害の発生時、インターネット上に不確かな情報、差別や偏見を煽る意図で虚偽の情報が投稿されている可能性があるということを是非念頭に置いていただいて、公的機関のホームページを確認するなど、正しい情報と冷静な判断に基づく思いやりの心を持った行動をお願いしたいと思います。引き続きSNSも活用しつつ、こうした状況を注視してしっかり万全の取組を引き続き努めていきたいと思っております。

法テラス災害ダイヤルに関する質疑について

【記者】
 冒頭発言にも関連するんですけれども、法テラスの無料相談ダイヤルについて伺います。ここではどのような相談を想定しているのかや、どのような場合に災害ダイヤルを活用したら良いのか、具体例を教えていただきたいのと、このダイヤルについて期待することであったりとか、活用に向けての呼び掛けがあればお願いします。
 
【大臣】
 昨日(閣議決定)した政令の公布・施行が行われ、被災者の方々に対し、資力の状況にかかわらず無料で生活再建に当たり必要な法律相談を実施しようということがスタートしました。これから災害対応をしっかり進める中で、復旧という段階に入ってきますと、多くの方々のニーズが出てくるんだろうと思うんですよね。非常に厳しい災害でありますし、大きな被害が出ていますから、あらゆることが考えられますけれども、当面考えられる御相談内容としては、収入が得られなくなったことに伴う債務の返済の問題、土地や建物が被害を受けたことに伴う住宅ローンや家賃に関する問題、御家族を失ったことに伴う相続の問題などです。無料法律相談に行く手前のところで、先ほど申し上げた法テラスの災害ダイヤル。ここに幅広く御相談を寄せていただきたいというふうに思っています。法的問題が関わる可能性がありそうな問題は、まずこの法テラスの災害専用フリーダイヤルに電話をしていただくということを是非、我々も広めていきますけれども、報道関係の皆さん、マスコミの皆さん方におかれても念頭に置いていただいて、折りがあればこういった情報をしっかりと届けていただきたいと思います。
(以上)