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平成29年 記者会見要旨  >  法務大臣閣議後記者会見の概要

法務大臣閣議後記者会見の概要

平成29年7月14日(金)

 今朝の閣議においては,法務省案件はありませんでした。

改正刑法(性犯罪厳罰化等)に関する質疑について

【記者】
 性犯罪を厳罰化する改正刑法が施行されました。改正法施行の意義について,大臣の御所感を改めてお聞かせください。

【大臣】
 本年6月16日に成立した「刑法の一部を改正する法律」が7月13日に施行されました。
 今回の改正は,性犯罪の罰則について,110年ぶりの大きな改正であり,性犯罪に厳正に対処するために非常に大きな意義があると考えています。また,改正法は,様々な議論がある中で,可能な限り,被害者の皆様の声を反映させたものと考えており,事案の実態に即した対処が可能となる点でも大きな意義があると考えています。私としても,今回の法改正の過程において,性犯罪の被害に遭われた当事者の方々などから直接にお話を伺うなどし,性犯罪が被害者の人格や尊厳を著しく侵害する悪質重大な犯罪であることに加え,被害者の心身に多大な苦痛を与え続ける犯罪であるとの認識を改めて深めたところです。
 法改正を機に,性犯罪が決して許されないものであるとの意識を社会全体に更に醸成し,共有していくことが非常に重要であると考えており,法務省としては,今後も,性犯罪への対策を推進していきたいと考えています。

【記者】
 性犯罪への対策を推進する必要があるとのことですが,具体的に,刑務所内での再犯防止など,いろいろやり方があると思いますが,大臣として何か具体的に力を入れていくべきと考えてる分野があれば教えてください。

【大臣】
 第4次男女共同参画基本計画の中に性犯罪への対策の推進に関して,法務省が実施することとされている主な施策があります。3つほど挙げると,まずは,性犯罪への厳正な対処,つまり性犯罪捜査体制の整備,充実があり,その中には検察官の研修といったものがあります。2つ目は,被害者への支援,配慮であり,例えば,法テラスにおける性犯罪被害に対する包括的また中長期的な支援の推進,被害者の心情に配慮した事情聴取等の推進,被害者等の情報の保護,被害者特定事項の秘匿制度の円滑な運用といったものがとにかく大切です。3つ目は,加害者に対する対策の推進,そして再犯防止対策の推進,性犯罪者に対する多角的な調査,研究といったものです。加害者対策の推進の中には矯正処遇,社会内処遇の充実強化といったものがあります。以上の「厳正な対処」,「被害者への支援,配慮」,「加害者に対する対策」という3点で,整理されていると思います。

退去強制の旅券発給拒否に関する質疑について

【記者】
 退去強制処分を受けたイラン,トルコ出身者の退去強制対象者について,イラン,トルコ大使館が旅券の発行を拒否していると聞いています。この事案について大臣御自身は把握されているのかということと,何か対策を考えているのかということをお聞きかせください。

【大臣】
 7月13日付けの報道で承知をしています。これについては,外国政府との間で進められている交渉ごとに関わる事柄であり,その詳細を述べることは差し控えたいと思います。
 現状において,退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず,我が国からの出国を忌避する被退去強制者が3千人以上存在し,我が国の安全・安心の確保のため,その問題への対応が,出入国管理行政上の非常に重要な課題になっています。退去強制が決まった者の送還を厳正に遂行していく上で,旅券発給あるいは身柄引受などに関し,出身国政府の協力を得ることは不可欠であると考えています。そこで退去強制業務を所管する入国管理局において,外務省の協力を得ながら様々なレベルで交渉を行っているものと承知しています。
 法務省としては,我が国社会の安全・安心の確保のため,今後とも送還忌避者対策に対し,全力で取り組んでいきたいと考えています。

鳥取地裁における接見拒否に関する質疑について

【記者】
 鳥取地方裁判所倉吉支部において,弁護士から被告人との接見を求められた際,それを矯正局側が拒否したという事案があり,訴訟が行われようとしています。そうした対応について大臣はどうお考えなのか。また,今回,訴えられたことについての所感をお聞かせください。

【大臣】
 御指摘の報道は承知しています。現時点において,訴状が送達されていませんので,コメントは差し控えたいと思います。詳細については,所管する矯正局にお尋ねいただければと思います。

予算委員会における集中審議に関する質疑について

【記者】
 自民党と民進党の国会対策委員長会談で,予算委員会における集中審議を行うことが決まりました。当初の与党側の思惑とは異なり,総理自らが出席し,丁寧な説明がしたいという意向ですが,自民党員として,そして閣僚の一員として,こうした総理の姿勢をどのように見るか,また説明が足りていないとの国民の声に対して大臣御自身としてどういう受け止めをお持ちでしょうか。

【大臣】
 先般,閉会中審査が行われた結果を踏まえての今の動きではないかと受け止めています。総理の意向があり,そして,政党間の協議も行われていると思いますが,所管外の私から,何か申し上げるようなことは,今の段階では差し控えなければいけないと考えています。

死刑執行に関する質疑について

【記者】
 昨日,死刑確定者2人の死刑執行がありました。2人のうち1人が再審請求中だったとされており,執行対象者の選択理由の情報開示や,もっと丁寧な説明が必要なのではないかという意見があります。大臣の御見解をお聞かせください。

【大臣】
 死刑執行の公表に関する基本姿勢について申し上げます。国家刑罰権の作用は,本来,刑の執行そのものに限られるのであって,それを超えて国家機関が死刑の執行に関する情報を殊更に公表することについては,死刑の執行を受けた者やその関係者に対して,不利益あるいは精神的苦痛を与えかねないこと,そして,他の死刑確定者の心情の安定を損なう結果を招きかねないことなどの問題があると考えられます。
 そういう中で,一方では,死刑の執行が適正に行われていることについて,国民の理解を得るために,可能な範囲で情報を公開する必要があり,また,被害者を始めとする国民からの情報公開の要請が高まっていることを踏まえ,死刑を執行した日,執行を受けた者の氏名,生年月日,そして犯罪事実及び執行場所を公表しています。その範囲を超える事情については,公表を差し控えるのが相当であると考えています。
 そして,1人は再審請求というお話がありましたが,再審請求を行っているから執行しないという考え方は採っていません。

劉暁波氏の死去に関する質疑について

【記者】
 ノーベル平和賞の受賞者で中国人の人権活動家の劉暁波氏が亡くなりました。出国治療を拒否されるなどの経緯がありましたが,大臣の御所感をお聞かせください。

【大臣】
 報道で拝見しており,私自身,関心はありますが,私の立場でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
(以上)